【津高本院】不妊治療のページです
染色体だけでは分からない、胚の"若さ"を測る試み
体外受精で「染色体に問題のない胚」を移植しても、着床しないことがあります。
染色体だけでは分からない何かがあるのでは?
そんな疑問に答える新しい研究マーカーをご紹介します。

❓ テロスコアって何?
細胞の中にある🧬 テロメア(染色体の端を守る構造)の量を、すでに行っている染色体検査(PGT-A)のデータから測定する新しい指標です。
❓ なぜテロメアが関係するの?
テロメアは、細胞の"若さ"や安定性に関わる構造です。
受精後の胚では、テロメアが一度短くなり、その後また長く回復していくという変化があります。
❓ どんな結果が出たの?
約5,000個の胚を分析した結果、テロスコアが高い胚ほど、📈 着床率が高いという関連がみられました
- 低いグループ:36.8%
- 高いグループ:60〜72%。
❓ 見た目(形)の評価と組み合わせると?
形の良い胚+テロスコアが高い胚は📈 着床率67.2%と最も高い結果でした。
興味深いことに、形は"やや劣る"胚でもテロスコアが高ければ、形の良い胚に近い着床率を示すこともありました。
❓ もう診療で使えるの?
いいえ、まだです。
研究者たちも「胚を選ぶための決定的な検査ではなく、複数の候補から選ぶ際の参考情報の一つ」と位置づけています。
🌈 まとめ
- テロスコアは、追加検査なしで測定できる新しい胚評価の指標
- テロスコアが高い胚ほど、着床率が高い傾向がみられた
- 見た目の形とテロスコアを組み合わせることで、より精度の高い判断ができる可能性がある
- まだ研究段階で、単独で胚を"落とす"判断には使うべきではない
📋 院長からのコメント
テロスコアは、既存のPGT-Aデータを活用し、胚の形態や染色体情報だけでは分からない着床力を評価できる可能性があります。追加検査を必要としない点も興味深いところです。
ただし、予測精度は中程度で、まだ予備的な研究段階です。現時点では胚を除外する基準ではなく、形態評価やPGT-Aを補う参考情報として慎重に検証する必要があります。
📚 出典
Lo WC, Cheng EH, Shih HH, et al. Postfertilization telomere marker testing in human embryos: a pilot study of a novel embryo evaluation assay. Fertility and Sterility. 2026;126(2):334-344.